インサイドヘッドという映画をご存知でしょうか?
インサイドヘッドは2015年公開のアメリカ合衆国のコンピュータアニメーション3D映画。
あらすじ:11歳の少女ライリー・アンダーソンの頭の中に存在する5つの感情――ヨロコビ、イカリ、ムカムカ、ビビリ、そしてカナシミ。ライリーの誕生や成長と共に生まれた彼らは、ライリーの頭の中にある「司令部」で彼女の心と感情を大切にして幸せにするために日々奮闘する。(Wikipediaより)
この映画では、最初のほうは「カナシミ」が邪魔な存在として扱われていましたが、実は「とても大切な存在」で大活躍するというストーリーでした。
僕はこの映画を見て「育児(子育て)」にも当てはまる大切なことだと感じました。
目次
カナシミの感情は必要なの?

この映画では感情をキャラクターをして描いていて「ヨロコビ」「イカリ」「ビビリ」「ムカムカ」…そして「カナシミ」が登場します。
ヨロコビを司令塔として、ライリーという女の子の成長を見守り、感情をコントロールしようとしているのですが「カナシミは必要なの?」というのが序盤の展開です。
感情達は「ライリーには幸せでいてほしい」のにカナシミがいるせいで「ライリーが悲しんで辛い思いをしてしまう」と考えてしまいます。
カナシミはヨロコビから「存在自体が迷惑」「歩く不幸せ製造機」というような扱いを受けます。厄介でネガティブな存在だというわけです。
ヨロコビの行動は親がやりがちなパターン
この映画を見て「ヨロコビの行動は親がやりがちなパターン」だと僕は思いましたね。
子供が泣いていると「不安」になるし、笑っていると「安心」する。できるだけ「カナシミという感情を排除したい」と思うのが親の心理なのではないかな。
我が子がずっと「ヨロコビ」に包まれていたらいいのに…ずっと笑っていられる人生でいますように…そう思いますよね。
だけどインサイドヘッドを見終わったあと、子供の持っている「カナシミ」をもっと大切にしなければいけないと感じました。
悲しみの感情から目を背けてはいけない

インサイドヘッドでは序盤から「カナシミ」という感情は存在しています。カナシミは存在するけど、その感情を表現するかしないか…という描かれかたをしています。
子供のなかに「カナシミ」という感情はあるけれど「表現」をしない。感情を押し殺して「ヨロコビ」のみを表現している…それって正常な行為ではないですよね。
親がインサイドヘッドのヨロコビのように、カナシミを「厄介な存在」として扱っていたら…子供の持っている「カナシミ」に向き合えずにいたら…おそらく子供はカナシミを表現しないでしょう。
それはとても危険なことではないでしょうか。
カナシミを表現することで得られるもの
カナシミを表現することで得られる効果は以下のようなことが考えられます。
- ストレスを発散し自分をいたわってくれる
- 周りが「カナシミ」に気づき助けてくれる
ストレスを発散し自分をいたわってくれる
思いっきり泣いたあとってスッキリしたりしませんか?それは涙を流すことによってストレスの原因になる物質を排出してくれるからです。
感情によって涙が流れると、脳から分泌されるホルモンの「プロラクチン」や、副腎皮質刺激ホルモンの「ACTH」、副腎皮質ホルモンの「コルチゾール」といったストレス物質も涙と一緒に体外に流れ出ます。つまり、感情がたかぶって流れる涙には、ストレスの原因になる物質を排出する重要な役割があるのです。
また、涙にはストレスによって生じる苦痛をやわらげる脳内モルヒネ「エンドルフィン」に似た物質も含まれているといわれています。目にゴミが入ったりして涙が出てもストレス物質は流れませんが、悲しいときや悔しいときに思いっきり泣くと、ストレス物質を排出し、苦痛を緩和することができるのです。
周りが「カナシミ」に気づき助けてくれる
本当は「カナシミ」を抱えているのに、それを表現できずにいたら…周りは気づいてあげられるでしょうか。気づかない場合のほうが多そうですよね。
映画でもライリーが両親に「カナシミ」を打ち明けられたことで、父親と母親はライリーの気持ちを理解し抱きしめます。そのことでライリーの壊れていた心は修復されました。
カナシミは必ず存在します。このカナシミを一人で抱え込むよりも、周りの誰かと共有し支え合うことができたほうが素晴らしい人生を歩めそうですよね。
周りとカナシミを共有し支え合うためには、まずカナシミを表現しなければいけません。
親として子供の「カナシミ」と向き合いたい
カナシミなんてないほうが人生は楽しい…それは大きな間違いだと映画が気づかせてくれました。
僕も親になって気づいたことですが、子供がネガティブな感情を表現していると「自分が不安」になってしまうんですよね。
できるだけ「子供からカナシミという感情を排除したい」…ヨロコビに包まれていてほしい…カナシミは「何て厄介な存在なんだ」と感じていました。
親が子供の「カナシミ」に向き合わない…恐れを抱いて遠ざけようとしていたら、子供は素直にカナシミを表現できないですよね。
この映画は「親」である僕に気づきを与えてくれましたね。
これからは子供が上手に「カナシミ」を表現できるように、ネガティブな感情も大切にし「悲しい」という感情を受け入れ向き合っていきたいです。
カナシミにも役割があります。それは「次のヨロコビを作り出す」こと。
インサイドヘッドの原題は「インサイドアウト(裏返し)」です。カナシミがあるからヨロコビがあるのです。カナシミは我慢するものではない。遠ざけずに共に歩んでいこう!